あだち充さんの作品にはいくつかありますが、
その中でも名作と感じているのがラフです。

ラフは単行本全12巻と決して多くはない量ですが、
中身は凝縮されているように思います。
また、長編にありがちな、物語の最初と最後で
絵が大きく違うといった現象がない所も好きです。

主人公 大和圭介とヒロイン 二ノ宮亜美の間に起こる
数多くの偶然・出会い、そして、
自然と圭介に魅かれていく亜美の描写に
思わず先へ先へとページをめくりたくなります。

最も好きなシーンは最後に描かれる亜美の告白ですが、
それと同じくらい好きなシーンが、
単行本3巻にある、中西弘樹の嘘によって起こった
圭介が亜美へ怒りをぶつける所です。

圭介の自尊心を傷つけられた気持ちと、
徐々に好かれたいという気持ちが出てくる亜美の申し訳なさ。
二人が結ばれるであろうと予想をしてても
どうなってしまうのか…と、ドキドキしてしまった描写でした。

恋愛、努力、ユーモア、友情が
コンパクトながらもギュッと詰まったこの作品は名作です。